思うがままにの初回は、WSO が始まってから私が1番多く受けた質問についてです。
「オーストラリアにも生活に困っている人達がいます。どうして遠く離れたバングラディッシュやケニアの人達をサポートするんですか?」
…です。
元々、私達は困った人達を少しでもサポートしたいと言う気持ちで何が出来るかを考えていました。もちろん「自分達の住んでいるオーストラリアで困っている人達は誰なのか?」を真剣に検討したこともあります。その中で、「アボリジニの方達が生活にお困りではないのか?」という考えが出ました。
ただ調べたところ、アボリジニの方達はオーストラリア政府から多くの補助やサポートをもらっていると言うことがわかりました。歴史的な問題の評価はさておき、「政府から多くサポートされているアボリジニーの方達に我々が出来る事はあまり無いのではないか?」と言う結論に達し、一旦アボリジニのサポートという案は断念しました。
…そんな中で、世界の貧困を改善するために「マイクロファイナンス」と言う少額融資についての話を耳にしました。これはバングラディッシュに住むプロフェッサー、マホメッド・ユニスが立案した貧困者救済の為の金融の方法です。10ドル程度という少額融資、その返済が出来るような具体的な方法をアドバイスし、貧困生活からの脱出を手助けする方法でした。
マイクロファイナンスについてより深く知ろうと思い、バングラディッシュのダッカで行われる1週間のマイクロファイナンス研修に参加しました。研修には銀行員なども参加していて、具体的な実現方法などを知る貴重な経験ともなりました。ただ研修して、自分が実現させるには難しい側面があるとも感じました。それは、借りたお金の利息が支払えない場合、厳しくその利息を取り立てる必要もあることです。残念ながら、この方法は私には向いていないと考え、結果的には断念することにしました。
ただ幸運にも、研修最後の日にユニスさんとお話しする機会がありました。
「私にはこのマイクロファイナンスを通じて世界の貧困を減らす事は向いていないが、何か他に良い方法はありませんか?」
…と質問しました。
ユニスさんは教育支援が貧困を少しでも減らす良い方法ではないかとアドバイスしてくれました。そのアドバイスを参考にWSOの無償の奨学金制度が生まれました。若者が職業訓練を受けて卒業し、本人が経済的に自立し自分の家族をサポートし、コミュニティーをもサポートする。その結果社会の貧困が少しでも改善されることをWSOは目指すことになりました。